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アジアの若手政府職員との交流ーUNITAR外交官プログラムに講師として登壇しました

2023年2月13日から17日にかけて広島で行われた 国連訓練調査研究所 UNITAR(United Nations Institute for Training and Research)主催の5日間のプログラム「UNITAR Hiroshima Nuclear Disarmament and Non-proliferation Training」 に講師としてKNOW NUKES TOKYOメンバーである中村涼香、中村生、山口雪乃が参加してきました。

国連訓練調査研究所(UNITAR)は、スイスのジュネーブに本部をもち、ニューヨークや広島などの支部を持つ国際連合の訓練専門部門です。具体的には、国連機関職員や外交官を対象に、世界の平和や発展に必要な知識や交渉能力を訓練するプログラムを実行しています。

実は同じプログラムに去年もKNOW NUKES TOKYOは講師として参加していました。(去年は、中村涼香、高垣慶太、中村生が参加)が、去年はパンデミックの影響でオンライン開催でした。渡航規制緩和により、今年は対面でプログラムが行われ、私たちKNOW NUKES TOKYOメンバーも広島に向かいました。

前方でプレゼンテーションをするメンバーと参加者
Traiq Rauf(タリク・ラウフ)氏(包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)コンサルティング・アドバイザー・元国際原子力機関検証安全保障政策課長)、Tim Caughley(ティム・コーリー)氏(国連軍縮研究所(UNIDIR)シニア・フェロー)、Yuiry Kryvonos(ユーリ・クリボノス)氏(国連アジア太平洋平和軍縮センター(UNRCPD)元所長)、弓削 昭子氏(法政大学教授)が傍聴された

プログラム内容は、「アジア 10か国の外務省、防衛省等の若手実務者約 20 名が広島を訪れ、世界レベル、アジア地域レベルの核軍縮・不拡散の現況や交渉スキルを学ぶプログラム」となっています。(UNITARホームページから抜粋

元国際原子力機関検証安全保障政策課長のタリク・ラウフ氏、マイクロソフト社アジア太平洋デジタル外交チームディレクターのマイケル・カリミアン氏をはじめとする講師たちのプログラムセッション群に混ざり、「日本の若者の核兵器問題アクティビスト」という立場で2時間の講演とワークショップをさせていただきました。

具体的な講演内容としては、私たちの活動紹介を説明した後、「アクティビストと政府関係者(外交官・防衛省)との関係と協力」という議題で1時間、参加者とメンバーの間で討論を行いました。

ワークショップを通して、様々な議論が行われました。具体的には「政府」と「市民」、それぞれどのような特徴があり、利点・不利点があるのかについて考えながら、「アクティビストはより具体的な政策を提示してほしい」、「市民社会と政府との対話を促進する機会が必要」などの意見をいただきました。

セッションを通して、彼らASEANの外交官とKNOW NUKES TOKYOの私たちの間では、大きく分けて2つの違いがあると感じました。1つは、国の違いです。アジアの中でインドネシア・ミャンマー・マレーシア・ネパール・ バングラデシュ・ カンボジア・ タイ・ベトナムなどは核兵器禁止条約に批准していて、日本は批准していません。アジアでの非核地域を作ることができるかなどの議論がされますが、同じアジアの中での批准国とそうでない国の違いを比べることは大切であると思いました。

もう一つの違いは立場の違いです。彼らは政府の代表、私たちアクティビストは市民の代表という側面をそれぞれ持ちます。私たちKNOW NUKES TOKYOも様々な形を通して日本の政府、外務省との繋がりを深めてきました。しかし、現在日本の軍事への関心が高まるなか様々な立場の方々との繋がりはより重要なものになっていきます。

元ニュージーランド国連常駐代表Tim Caughleyさんとメンバー

セッションの休憩中、元ニュージーランド国連常駐代表Tim Caughley(ティム・コーリー)さんと対話しました。ニュージーランドは、アメリカの核の傘に依存をしていたが、国民が核兵器廃絶を望み、核兵器禁止条約を2018年に批准したということをお聞きしました。また、他の講師の方々とも話し意見交換をし、これから核兵器禁止条約第二回締約国会議に向けて協力をしていくと言ってくださりました。

セッションが終わり、参加者の人たちとともに写真撮影をしました。様々あるセッションの中で、一番よかったセッションだったと言ってくださった方もいました。

市民の代表のアクティビストの仕事は何か、という問いを考える1日でした。今回、その答えの一つは「政府と市民のバイパス」であるのかなと思いました。政府からの情報提供によって伝わるはずの情報と、投票によって伝わるはずの国民の意思が滞らないように、コミュニケーションを円滑にしていく潤滑油の役割を私たちはより一層意識しなくてはならないと思いました。

UNITARの皆様、参加者の皆さん、貴重な機会と繋がりをありがとうございました。これからも未来の核軍縮に向けて協力していきたいと願います。

その後、中村生と山口雪乃は広島に帰省をしていた他のメンバーの高垣慶太と合流し、広島内の平和学習を行いました。原爆ドーム、広島平和資料館、原爆が落ちた場所など訪れました。それぞれが感じたことなどある中で、今回の旅を終えました。

執筆担当:中村生

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